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沿線まちづくり研究会 活動概要

沿線まちづくりの動向
 鉄道と沿線開発の一体的推進は、我が国の都市づくりにおいて大きな役割を果たしてきたが、人口減少時代に入り、 鉄道と沿線のまちづくりを改めてとらえなおす動きが出始めた。国土交通省都市局では、平成24年度の勉強会を皮切りに、 各種検討を進め、平成27年12月には、「地方公共団体及び鉄道事業者を主な対象とし、 大都市郊外部や地方都市周辺の鉄道沿線において円滑かつ効果的に鉄道沿線まちづくりが推進されるよう、 沿線地方公共団体・鉄道事業者等の連携に向けた場づくりの方針を示す『鉄道沿線まちづくりガイドライン(第一版)』 が国土交通省都市局より発出された。「このような場を活用して、沿線の市町村間での都市機能の分担・連携を高め、 鉄道を軸とした都市機能の再編を進めることにより、コンパクトな都市構造の実現に資するもの」を主旨としている。 (同ガイドライン「はじめに」より)


出典:鉄道沿線まちづくりガイドライン(第一版)

本研究会での沿線まちづくりのアプローチとターゲット
 同ガイドラインでは、コンパクトシティを推進するための都市機能の分担・連携などを推進するアプローチに重点がおかれており、 どちらかといえば広域の立地適正化方針を策定する自治体等に主眼が置かれたものであるといえる。これに対し、本研究会のメンバーである、 大都市周辺を営業エリアとする大手鉄道事業者が近年取り組んでいる沿線まちづくりは、これまでの沿線開発の経緯や沿線人口の高齢化等 の状況を踏まえつつ、鉄道会社としてビジネスモデルを強化するために、改めて沿線価値向上に取り組んでいるものと考えられる。
 さらに、コロナ禍を経た社会情勢の変化などを念頭におくと、各鉄道事業者は、従来の郊外住宅地から都心への通勤需要に頼った形ではない 新しい形のビジネスモデルの構築を迫られており、本研究会の主旨にあるように、沿線住民の新しい暮らし方に沿ったネイバーフッド型とも いうべき新しいまちづくりのニーズにこたえていくような、従来の「沿線価値向上」にとどまらない新しいアプローチが必要になると考えられる。
 このため、本研究会においては、沿線まちづくりについて、駅における商業開発、高架下利用の高度化、駅周辺のまちづくりなどに限定せず、 沿線の団地再生など、駅から離れた地域も含む広い沿線エリアでのにぎわい創出、あらたな居住・就業形態の創出などの取組みについてもまずは ターゲットしてとらえ、事例の研究や課題の抽出を進めていくこととしたい。さらに本研究会での議論を通じて、適宜ターゲットや 課題の絞り込みを行い、最終的には、鉄道事業者のみならず地域社会にとっても持続可能で暮らしやすい社会の実現に資する沿線まちづくりの 推進に資する施策の提言等につなげていくことを目指すこととする。

メンバー

  メンバー一覧<2024年3月現在>


事例集

 <今後更新予定>


2023年度活動報告

 研究会開催概要

   研究会会場  主な議事  現地視察会場
第1回
2023/5/10
10:00~12:00
民間都市開発推進機構
会議室
・研究会趣旨説明
・国土交通省取組紹介
・民間都市開発推進機構紹介
第2回
2023/7/5
13:00~20:00
京都市交流促進・まちづくりプラザ
多目的室
・阪急電鉄取組紹介
・西日本旅客鉄道取組紹介
TauT阪急洛西口
第3回
2023/9/4
13:30~20:00
東京農業大学 代田キャンパス
2階
・東急・東急電鉄取組紹介
・小田急電鉄取組紹介
・京王電鉄取組紹介
下北線路街
ミカン下北
第4回
2023/11/22
13:00~20:00
阿佐ヶ谷地域区民センター
第4・5集会室
・東武鉄道取組紹介
・京浜急行電鉄取組紹介
・東日本旅客鉄道取組紹介
高円寺~阿佐ヶ谷高架下
高円寺アパートメント
第5回
2024/2/7
13:30~20:00
名鉄都市開発(株)内
707・708会議室
・名古屋鉄道取組紹介
・今年度のとりまとめ(案)
SAKUMACHI商店街
IKOMAI(アンテナショップ)
第6回
2024/3/8
13:00~15:00
東京都内を予定
・今年度のとりまとめ
・次年度の進め方



課題・ポイントのとりまとめ
 本研究会での議論を通じて、沿線まちづくり(駅周辺開発やリノベーション、沿線一帯のブランディング、エリアマネジメントなど)を進める上でのポイント(努力、工夫点、コツ、障壁、課題)として、以下に記す4点が挙げられた。
①自治体、地域住民、民間企業などとのパートナーシップの構築
②主体性や連携を生むための関係主体の役割分担
③収益性確保や自走化
④社内の体制構築と意思決定の判断基準


●自治体、地域住民、民間企業などとのパートナーシップの構築
項目 
①自治体、地域住民、民間企業などとのパートナーシップの構築
要点
●連携するパートナーとして、自治体・地域のキーパーソンとのつながり
・既に活動を進めている(自走している)まちのキーパーソンとどのように出会えるかが課題
・協力し合えるキーパーソンとの良好な人間関係を構築することが必要
 
●地域住民・自治体・民間等の関係の構築
⑴地域住民・自治体・企業等との課題等の共有
・全ての関係者がWin-Winになれるようなアウトプットの共有や関係性を築くことが課題
・各自治体との課題認識の共有、地域住民との当事者意識の醸成、民間企業との時間軸と取組意義の共有が課題
・自治体、地域住民と同じ熱量を共有すること
 
⑵日常的なコミュニケーションの重要さ
・気楽に会える距離感に鉄道会社の窓口役がいること
・対話による信頼関係や、普段のコミュニケーションからの関係性構築が重要
 
●取組の継続性・持続性の確保
・持続可能な体制づくり(関係者のモチベーション維持、キーパーソンの異動、組織トップの交代)
・長期にわたるまちづくりに対し、長期的な目線でみたときの、担当者や人材の育成、モチベーションの維持

●主体性や連携を生むための関係主体の役割分担
項目 
②主体性や連携を生むための関係主体の役割分担(公共の役割、民間同士の役割)
要点
●広域的な沿線まちづくりの主体
・自治体の旗振り役として都道府県の役割が重要ではないか
・複数の自治体を跨ぐ沿線まちづくりの中で、自治体のまとめ役を誰が担うか

●共通した目的の設定と役割分担の明確化
○自治体:地域の窓口、民間事業者や地域のサポートを担う
・イニシャルコストの支援  ・助成制度の紹介 ・公共財(空間等)活用への理解
・部署間調整、商店街組合等との連携調整

○地域・民間企業:沿線まちづくりの主役を担う
・民間は、事業性は求められるものの、様々なアイデアで新しいことにチャレンジしある程度自由にできることが強み。
・地域住民や民間企業側は「自治体がやるべき仕事」と思うのではなく、いかに自分たちで活動するのか、その意味や重要性を理解することが大事。

●自治体や民間の主体性を生むポイント
・民間が主体的に動ける余地を作る
※自治体だけでまちづくりを推進するのは限度があるが、支援や協力は不可欠
・鉄道会社等がまちづくりの機運を高め、地域に引き継ぐ
・自分事としてとらえること
・自治体は推進するための障壁を一緒に乗り越えるスタンスが必要、民間企業に対してはフリーライダーの抑止も必要

●収益性確保や自走化
項目 
③収益性確保や自走化(エリマネの自走化など、事業の持続性他)
要点
●事業としての自走化(資金や安定収益)
・安定収益がないとボランティアとなり、地域参画ができない
・企業の収益基準の再検討も必要
・エリアマネジメント活動に対する支援(規制緩和)、沿線まちづくり活動に積極的な民間企業への優遇措置、公的な補助支援があると効果的に進められる

●取組としての自走化(活動主体となる地域の存在)
・エリアで自律的に活動する地域住民団体の存在
・地域が主体となることで行政の協力が得られやすい
・完成すればすべて民間、ではなく、開発段階と同様、官民が公平に手間・費用・時間を負担しあうことが、自走・継続のポイント

●事業・取組の両方に共通する課題
・収益化の前に、沿線活性化の意義・効果の明確化や、ビジョンの共有が必要ではないか。
・人材の確保、高齢化による後継人材の発掘

●社内の体制構築と意思決定の判断基準
項目 
④社内の体制構築と意思決定の判断基準(KPIなど)
要点
●意思決定を円滑化できる体制の構築
・鉄道と関連事業を巻き込む横串組織の設立と運営(継続的な投資資金や活動資金の確保)
・各開発PJ(新規・既存)において、沿線まちづくりを関連事業として位置付ける

●KPIの必要性
・会社やステークホルダーの理解・評価を得る上で、KPIが求められる
・中長期的な沿線価値向上を指標としてどう定量化するか、エリアマネジメント等の沿線まちづくり活動のKPI設定や数値化・見える化が必要

●人材の確保・スキルの継承
・人材育成、人材確保、そして持続的にそのスキルを継承すること
・イベントごとや地域のキーパーソンとの関係構築にあたり、業務の範疇を超えて、うまく動ける人材(プレーヤー)が必要ではないか

今後の進め方
 ●本研究会は3か年を1つのタームとする。
 ●初年度(本年度)は立上げ、2年目は体制の拡充と検討の深度化、3年目は研究成果の取り纏めと対外的な発信を想定。
  運営費用の確保などを含めて、本会の運営方法を再構築する。
 ●2か年目の進め方としては、研究の深度化に加えて、学識のメンバーの方や、外部有識者などから発表いただく時間も
  加える。
 ●対外的な情報発信として当ページを設置し、当面は、2023年度の活動概要の報告と各社事例の内 代表事例について簡易
  に纏めたものの2つを発信する。
st (2023年度)

nd (2024年度) 3rd (2025年度)
第2ターム
立ち上げ

研究活動
・会員事例集
・ポイント・課題の抽出
研究活動
・有識者等セミナー(内部)
・ポイント・課題の検討

対外発信
・研究活動報告
研究活動
・成果・提言とりまとめ

対外発信
・シンポジウム
研究体制の拡充

検討テーマ深度化