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自主研究

 当協会では、研究部会において取り上げられている研究テーマ以外にも、様々な問題・課題を多角的に検討するために自主的な研究会を組織し、基礎的な調査・研究活動を行っています。


研究中のテーマ(2024年度期)



  今後の交通結節点等の整備のあり方に関する研究
活動概要
 国土交通省本省及び各地方整備局と連携し、交通結節点整備の計画立案や事業化に向けて課題を抱えている自治体に向けて、交通結節点等の基本的なルールから鉄道事業者との調整に際しての留意点等についての講習会等を実施することで、今後の交通結節点等の整備のあり方を示すとともに適切な事業実施を支援することを目的としています。
実施項目
(1)交通結節点に関するアンケートの実施
(2)地方整備局等の講習会支援
(3)国内外に終える交通結節点事例の収集・整理


将来都市像におけるモビリティ・デザインに関する研究
活動概要
 わが国の将来都市構造における都市交通体系のあり方に関する研究として、国土交通省他との勉強会を中心に、将来の都市交通体系の基本的な考え方に関する研究及び各拠点エリアにおける都市交通の姿に関する研究を進めます。また、わが国の都市交通政策の参考となる海外先進都市の事例を収集するとともに、海外研究機関との関係構築のあり方を検討する他、特定のエリアにおける低速化を軸としたまちづくりのあり方について情報収集と研究やアクティブモビリティ・マイクロモビリティなどの新たな都市交通の概念に関する事例収集、課題整理や活用方策についての研究を行ないます。
実施項目
(1)わが国の将来都市構造における都市交通体系のあり方に関する研究
(2)海外都市交通政策・施策動向に関する情報収集及び海外研究機関との連携に関する検討
(3)「ゆっくり」を軸としたまちづくりに関する研究
(4)アクティブ・マイクロモビリティに関する研究



  バリアレス縁石Plusstop」普及促進等に関する活動
活動概要

 わが国における都市内交通の主要なモードであるバス交通の高度化にあたり、主要な課題の一つとして捉えている「停留所における正着性の向上」について取組んでいる当協会は、中村文彦工学博士(現・東京大学特任教授、名古屋大学特任教授、JTPA技監)、株式会社アドヴァンス、株式会社ブリヂストンと共同で、バスの正着をサポートするバリアレス縁石を開発し、新潟市、岡山市での導入を皮切りに導入が進んでいるところですが、全国のより多くのバス利用者の利便性、安全性向上に向け、さらなる普及促進を図っていく活動を進めていきます。

バリアレス縁石「Plusstop」の導入を検討されている地方公共団体やバス事業者などの皆様に対し、導入に向けた計画・設計・施工に関する各種アドバイスや事業サポートをおこなっていきます。



PlusStopパンフレットを公開しました
PlusStopパンフレット PDFファイル(6.1MB)


実施項目(1)各地区導入に向けてのアプローチ
(2)導入データベースの作成
(3)開発者協議会の実施


 ウォーカブルに関する総合的研究
活動概要
 世界的なウォーカブルの潮流、国交省等における重点政策化等の流れを踏まえ、全国各地のこれら取組の支援に繋げ公益に貢献するべく研究を進めます。
 昨期に構築したプラットフォームを活用し、意欲ある自治体や民間企業等との情報交換・ノウハウ共有や関係性構築を進めるとともに、ムーブメント醸成や普及啓発に加えて、より実装や運用に近いフェーズの知見をストックし、今後の展開を模索することに繋げていきます。 
 特にウォーカブルに関しては以下取組みを2021年度から継続実施していますので、ご覧ください

これまでのマチミチのあゆみ
➢ 2021年度マチミチweb講座

➢ 2022年度マチミチweb講座

➢ 2024年度まちみち広場

 (外部サイトにリンクします)

実施項目
(1)勉強会や社会実験等を通じたウォーカブルなまちづくりの総合的支援
(2)国内外におけるウォーカブルな取組み事例の収集・整理


沿線まちづくりに関する研究
活動概要
 我が国の都市は、明治以降、鉄道路線の延長とともに発展してきました。
 特に、鉄道による沿線開発を伴った仕組みは、我が国独自のTODによるビジネスモネルを構築し、kろえまでの都市形成に大きな役割を果たしてきました。
 近年に至り、人口減少、高齢化に加え、コロナ禍の影響による公共交通需要の減少、ワークスタイルやライフスタイルの変化、身近な都市環境を重視する価値観の変化等が進み、人口増加時代のまちづくり手法や町と鉄道とのありかたでは閉塞感を打破できない状況が生まれてきています。
 そのような状況の下、鉄道側にとっても、まちづくり側にとっても、これまでの日本型TODに変わる新しいモデルの構築が必要となって来ています。
 こうした中、コロナ以前から出始めていた沿線まちづくりの新たな動きが、コロナ禍による変化を踏まえてさらに発展し、具体化しており、線路の上下空間の利用、沿線の団地再生など、従来の沿線開発からさらに発展した、沿線住民の新しい暮らし方に沿ったネイバーフッド型ともいうべき新しいまちづくりの具体事例が生まれ始めています。
 「沿線まちづくり研究会」は、このような取組みを鉄道等の民間事業者、研究者、行政関係者等による事例収集、調査分析、議論を行うことにより、関係者の認識共有・連携強化を図るとともに、新しい沿線まちづくりのあり方を模索し、まちづくりの新たな方向性を見い出すことを目的としています。

これまでの活動概要はこちら

 
実施項目
(1)沿線まちづくりに対するさらなる訴求点の明確化と推進方策の検討
(2)沿線まちづくりの方向性や方策に関する発信・共有
(3)鉄道事業者とまちづくり関係者の連携強化
(4)新たな制度、支援策の提言・発信
※2024年度期は、このうち(1)を重点的に実施予定



 中核市におけるモビリティ・ハブのあり方研究
活動概要
 近年、モビリティ・ハブという言葉のもと様々な概念や整備事例が打ち出されていますが、それらのいずれも統一された見解やイメージ等がなく、それぞれが独自に創り上げているものです。

本研究では中核市程度の自治体に着目し、モビリティ・ハブのあり方を検討するとともに、ケーススタディを実施し、地域特性をふまえた望ましいモビリティ・ハブについて研究し、今後の自治体の施策推進に寄与することを目的に実施します。

実施項目
(1)モビリティ・ハブに関する事例収集等
(2)中核市におけるモビリティ・ハブのあり方の検討
(3)ケーススタディの実施



 基幹公共交通導入可能性の拡大に関する情報収集
活動概要
 LRTを都市軸として成立させるために都市構造の集約化をセットで進めることで事業が成立する都市は、まだまだ潜在的に多くあるものと思われ、また、都市規模や財政力、物理的な導入空間の課題から新たな公共交通の導入を諦めている自治体もあると考えます。

さらには、都市経営として基幹公共交通軸へ都市構造を集約化していくことを前提とした都市・交通政策が期待されています。

本研究ではそうした認識のもと、富山や宇都宮を特殊解とすることなく軌道系の基幹交通システムの導入検討の拡大に資する情報収集を実施します。
実施項目
(1)機関公共交通(軌道系・BRT・基幹バス)NWの位置づけ、方向性、施策展開の情報収集
(2)行政の財政支出に関する情報収集
(3)機関公共交通の維持存続、再生、スキーム再構築の新たな財源として期待される都市計画税、法定外目的税などに関する情報収集
(4)機関公共交通(LRT、路面電車、BRT、新交通・都市モノレール)の導入効果、存在効果に関する情報収集



 3Dデータ等デジタルデータの活用によるJTPA事業展開の可能性検討
活動概要
 国土交通省が「まちづくりDX」のテーマのもと、全国の3D都市モデルの整備、オープンデータ化を進めており、今後のまちづくりにおいてデジタルデータ活用の機運が急速に高まっています。すでに受託業務の中では、デジタル技術活用の要請も出はじめており、JTPAの今後の事業活動においても、デジタル技術の活用は避けられないことが想定されます。
これらの状況から、本研究では、3Dデータとうデジタル技術の基本的な知識を習得し、来るべきデジタル化社会への対応に備えるとともに、むしろ、JTPAの今後の事業活動において、同技術の活用の可能性を探ることを目的に検討を行うものです。
実施項目
(1)都市のデジタル技術運用技術者による講義
(2)基礎的なビジュアルデータの作製
(3)デジタル技術活用可能性の検討

過去に扱ったテーマ

  2050年都市ビジョン研究会
活動概要 [実施時期]
20092011
 
[目的]
 現在、日本の社会・経済情勢は「人口減少」「超高齢化」「地球環境問題の深刻化」「国際都市間競争の激化」等の課題が指摘され、大きな社会転換期を迎えています。
しかし、そのような諸問題について各分野でとられているのはフォアキャスティング的対応策であり、長期的な展望に基づいたものとなっていません。
※【フォアキャスティング】
  過去のデータや実績から導かれるトレンドに基づいて将来を予測し、必要な対応策を考えるアプローチ

 
 そこで当協会では、日本の人口が一億人を切ると予想されており、また、想像可能範囲の限界と考えられる『2050年』を目標年に設定し、バックキャスティング的手法を用いて、その目標像のあり方と、目標像の実現に向けて必要と考えられる都市政策を検討することを目的として、2050年都市ビジョン研究会」を設置致しました。
※【バックキャスティング】
  過去のデータや実績にとらわれずに、ある目標像を設定し、その姿から現在を振り返って対応策を考えるアプローチ

 
 目標像の検討にあたっては、「人々の生活の質の向上」や「自然との共生」などの理念を実現するような理想的なまちの姿を研究会各メンバーが検討し、それらをもとに協議を行って研究会としての2050年の理想像を描きました。
 
[研究成果]
2011年>
 2050年都市ビジョン研究会 中間成果報告 平成231
 「もう一度、夢のあるまちづくりについて考えてみませんか?
  ~2050年の私たちの暮らし~」

 [PDF2.00MB]

  地区交通研究会
活動概要

[実施時期] 
~1987年
2005~2006年
2012~2013年

[目的] 
 我が国における地区交通の本格的な取り組みは、1950年代後半の大規模ニュータウン開発で歩車分離のコンセプトによって地区内道路整備が実現されたことにはじまり、既成市街地においても幹線道路の整備がすすむにつれ、地区道路の交通負荷の軽減、地区内への通過交通の進入を抑制するなどの施策が、主に交通規制と道路整備の2つの観点から講じられてきた。特に道路整備面では、昭和50年に居住環境整備街路事業が創設されて以降、歴みち・シンボルロード、コミュニティ道路、総合都市交通施設整備事業等の事業メニューを活用した地区内道路整備がすすめられてきた。
 しかしながら、特に21世紀に入り社会・経済情勢の変化やそれに伴う人々の生活行動パターンが変化し、また、都市部の商業地区などの様相も大きく変遷していく中で、あらためて現状に即した、地区交通の取り組みを見つめ直す時期が来ているといえる。
 こうした状況を見据え、特に地区内道路整備のあり方や地区交通コントロールの手法などについて具体的テーマ設定をおこない、専門家と国土交通行政を担う技術者による自由討論形式による勉強会を積み重ね、制度改善を目指すレベルで研究を重ねていこうとするものであり、あわせて技術者の資質向上を図ることを目的とする。
(2005年地区交通研究会企画より)

[研究成果]
<~1987年度>
・「みち まち アメニティ -地区交通計画の考え方と実践―」
 (監修 建設省都市局都市交通調査室)の出版
※絶版により現在は販売しておりません。


<2005~2006年度>
・社会資本整備審議会(第二次答申)への反映
 「集約型都市構造の実現に向けて ―都市交通施策と市街地整備施策の戦略的展開-」
・国土交通省都市・地域総合交通戦略制度の創設に向けた支援
(国土交通省パンフレット表紙)


<2012~2013年度>
・研究報告「歩いて暮らせるまちづくりの戦略 ―地区交通からのアプローチ―」のとりまとめ
 本研究で提案した「歩行者環境区」の考え方が、都市再生特別措置法の一部改正による「滞在快適性等向上区域(まちなかウォーカブル区域」の設定として実現されることとなりました。



 新たなモビリティ創出に関する研究
活動概要

[実施時期] 
2014年~2018年 シェアリングモビリティなど新たなモビリティの効果発現に関する研究
2019年~2021年 新たなモビリティと導入空間に関する可能性検討
2018年~2022年 自動運転技術の進展を見据えた次世代地域交通に関する研究

[目的] 自動運転、スローモビリティ、シェアリングモビリティなど新技術の社会実装への期待が高まっていますが、これら移動に関する新たな技術等について、単に既存交通への新技術の適用という視点に留まらず、人口や担い手の減少、都市間競争力の強化につながる魅力的なまちを支える移動・交通という視点から、その発現効果を最大化するために必要な新たな技術やシステムの配置・組合せのポイントなどを明らかにすべく調査研究を行いました。

例えば、当初小規模で始まった我が国のシェアサイクルに対し、単に点としての需要に着目するのではなく、密度がその効果を発現することの鍵である事を明示しました。また、発地・着地が連坦して面的に広がる事での移動特性から、バスなど路線型のシステムでは対応できない多方面への合理的な対応、タクシーなどでは対応できない密度への同時対応などが、シェアリングモビリティのもつ本質的な特徴であり、その特性が創出する都市交通としての可能性を示しました。

また、自動運転技術の進展を見据え、都市生活における移動課題の解決とそれによる地域の持続性向上への寄与を視野に、新たなモビリティの都市空間への適用のあり方や可能性について検討を行いました。このなかで、自動運転が導入された際の都市空間のあり方に関する検討については、早稲田大学大学院森本 章倫教授の研究室との共同研究として、自動運転普及社会における乗降空間とその周辺環境要因が与える影響を捉えるため、特に「カーブサイド」に着目し、シミュレーションを使用した分析を行い、その将来的な活用の可能性や活用に向けた課題、及びその解決に向けた方策等をとりまとめました。

これらの研究結果は、単に車両や制御システムに着目するのではなく、今後の持続可能なまちづくりとしてのニーズの視点や、まちづくりとして取り組むことでより本質的な対応ができ、結果早期実装につながる方策としての示唆となります。

≪2015年≫ ロンドンサイクルハイヤー ある一日の動き
 ロンドンTflのシェアサイクルのオープンデータを使い、201495日における動きを可視化したものです。 これにより、時間帯による自転車の活動領域や偏在が俯瞰できることに加え、同時に多方向に面的に発現する移動について捉えることができ、これら面的な移動特性への対応こそが、都市交通として高密度型のシェアサイクルの本領が発揮されることが理解できます。
動画はこちら

≪2018年 東京のシェアサイクル ある1日の動き
 東京都江東区ではじまった都心区でのシェアサイクルについて、事業主体である各区と運営事業者の協力の下、可視化。
 4区での連携前と連携後の動きの違い、更には6区への拡大による利用の増大を、平日と休日で可視化しています。
 規模、密度の向上による利用の拡大が理解できるとともに区境での利用制約がなくなったことによる需要の創出などもみて取れます。

≪2016≫ VeloCity台北ポスタセッション
 自転車まちづくりに関する世界会議”VeloCity”2016年台北開催におけるポスターセッションで、シェアサイクルの規模と密度による効果発現について発表。
ポスターはこちら

≪2022年≫ 自動運転等実装後の社会を見据えた路肩空間のあり方に関する提言
 早稲田大学大学院森本研究室との共同研究の成果の一つとして、自動運転時代のカーブサイドのあり方について提言。
 自動運転の制御技術の高度化を見据えて、時間帯によるカーブサイドの柔軟な運用の可能性などを提示。
報告書はこちら